熊大に入学して二年間は旧制第五高等学校跡の校舎で教養の授業を受けることになり、大変立派な校舎でしたが、冬はものすごく寒くて日向から行った私は大変でした。その後熊大医学部に入学しました。
校舎は熊本城の旧六師団の弊社の跡で古くていささかがっかりしたものです。ここで学んだことは基礎医学、解剖生理学などでした。解剖室は戦時中軍馬の飼育室で、裸電球がいくつか下がっているお粗末な部屋でした。
死体は解剖室のホルマリンのプールから一体ごとに引き上げ並べてあって解体を四人で行いました。我々は昼間の作業でしたが解剖学教室の先生方の研究は真夜中に行っていたそうで、さぞかし怖かっただろうと思ったことでした。
授業の合間や休みの日には熊本城に行って色々昔のことを学び楽しく遊んだものでした。その後、授業は大学附属病院内の教室で受けることになりましたが、病院は昭和六年に建設された建物でかなり古く、戦災にも合っていましたので、いろいろと不便なものでした。当時は冷暖房などなく、熊本の夏はことさら蒸し暑く医学部の研究室では長い間の研究や勉強も大変でした。それから徐々に施設が新たに建設されて研究にも支障がなくなりました。
※写真はイメージです













