何科の医師になる選択をする時になりました。私は郷里が産婦人科の患者さんを主に診療しておりましたので外科医になるか産婦人科医になるか迷っておりました。当時、学生内では臨床講義などで評判が良いのは産婦人科の教授と外科の教授で卒業後入局する学生が多かった様です。
二、三日ぼんやり過ごしているところへ、産婦人科の教授から友人を介して是非会いたいとの伝言があり、翌日産婦人科の教授室に行くと突然大学院に行くことになりました。
当時、大学院では特別な講義があるわけでもなく、教授ご指名で小島先生と私が選ばれ、学費だけ払いました。
小島先生と私は、大学院の授業の代わりに産婦人科教室のいろんなデータの統計を取り提出させられました。日中は臨床が忙しかったので、夕食後九時位から夜半にかけて毎日カルテを繰って何十年分のいろいろな統計を取りました。
その統計は教授の机の上に置かれたままで目を通されたような形跡はないので後日宴会があったとき、飲んだ勢いで思い切って教授にお尋ねしたところ、
「それはね、統計を取るときは数字ばかりで途中でくたびれて、必ず他の人が書いたカルテの内容を読むでしょう?それが他の人よりたくさん勉強をしたことになるんだよ。それが目的で君たちに何度も統計を取らせたんだよ。」と言われ納得しました。
「親の心子知らず」ですね。













